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私たちが国指定の伝統的工芸品をオンラインで販売するには、 フルスクラッチのオリジナルECモールが理想を叶えてくれる手段でした~伝産協会様の事例【前編】

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EC

 

2022.3.24


実践!リーダーが語る「プロジェクト成功への近道」(5)
一般財団法人伝統的工芸品産業振興協会様の事例【前編】

「伝統的」という言葉はとても曖昧な要素をはらんでいます。日本のさまざまな文化に対して、伝統的なものと、そうでないものの違いを明確に説明するのはとても難しいですが、工芸品の中から、伝統的工芸品産業の振興に関する法律(伝産法)に基づいて国指定(経済産業大臣に指定)された伝統的工芸品を振興し、後世に伝えていこうとする組織が一般財団法人伝統的工芸品産業振興協会(以下、伝産協会)様です。

伝統的工芸品の多くは、全国各地の工房などで工芸士の手によって作られています。そのため、我々がそれらを目にする機会は、旅先や百貨店の催事などと限られているのが現状で、工芸士たちの収入もそういった機会に幾分か委ねられていました。しかし、新型コロナウィルス感染症拡大防止対策の影響で、催事の相次ぐ中止や旅行自粛などに伴い、販売機会を大きく減少してしまったのです。

この状況を打開すべく2021年11月15日オープンしたのが、工芸百貨「匠市(たくみのいち)」です。図書印刷は、このオンラインショップの制作をサポートし、フルスクラッチでECモールを構築しました。前編では伝産協会様がECモールを開設されるにいたったきっかけと、図書印刷が受注するまでの経緯を見ていきましょう。(全2回の前編。後編はこちら)

コロナ禍によりオンラインで販売できる場の提供が急務に

1970年に大阪で開催された万国博覧会(EXPO’70)は、日本の技術革新に大きな拍車をかけた一方で、各地に伝わる手仕事や芸能を、観光資源や産業として見直すきっかけとなりました。1974年に「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」が制定され、協会が創立されたのが1975年。以来、(1)人材確保及び技術・技法継承事業、(2)産地指導事業、(3)普及推進事業、(4)需要開拓事業などの事業を実施。現在までに全国237の工芸品が「伝統的工芸品」として国指定されています。

「普及推進事業の一貫として、これまでは「伝統工芸 青山スクエア」や百貨店の催事、全国的なイベントなど、リアルな店舗での販売支援に重点を置いていました。工芸品は実際に手に取って、触れていただくことで販売動機につながることが多い商品です。また、販売する側(工芸士)の高齢化、人材不足など、さまざまな事情から、これまで業界的にオンライン販売が進みづらかったのですが、コロナ禍となり、伝産協会が工芸士さんたちに販売できる場を提供することが急務となりました。
オンライン販売にあたって、国指定の工芸品であることを保証するサイトである必要もあったので、既存の大型ECモールへの出店ではなく、オリジナルでECモールを作ることになりました」と語るのは、伝統的工芸品産業振興協会の勝田彩香様。

勝田彩香様
勝田彩香様
一般財団法人伝統的工芸品産業振興協会

それまでにも、オンライン販売は青山スクエアのオンラインショップ(現在は匠市に移転)がありましたが、コロナ禍までは、ECよりもリアルでの販売に注力されてきたそうです。

青山スクエア店内写真②
伝統工芸 青山スクエア(店内)
東京都港区赤坂8丁目1−22 1F
 

既存のECパッケージでは要望を満たせない

図書印刷は伝産協会様から、これまでにも印刷案件のお引き合いをいただいていました。今回のECモールのお仕事も古参の担当営業が伝産協会様を訪ねた折に、たまたま公募を目にしたことがきっかけです。
従来のお客様の多くが図書印刷=印刷業のイメージをお持ちのように、勝田さんも図書印刷がデジタル事業に取り組んでいることを当初はご存知ではなく、コンペに参加したいという申し出に驚かれたそうです。
最初の公募〆切は2020年8月でしたが、そこでは業者選定まで至らず、RFPをより明確にした公募が11月に出されました。

図書印刷の鈴木は当時を振り返って、「初回の公募は〆切までに3日間ぐらいしかなくて、もう諦めかけていたのですが、思い返してメンバー総出で挑戦しました。その時はマーケットプレイス型のECパッケージがベストと判断して提案したのですが、プレゼン時に、髙橋理事のお話しをうかがう中で、これは提案するパッケージの要件に合ってこないなと思いました。

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鈴木暁雄
図書印刷株式会社
デジタルマーケティング部 係長

協会様がご要望されていた形は、各事業者(工芸士)、事業者(工芸士)を取りまとめている産地組合、伝産協会という三段構造で管理権限を持たせたいということだったんですね。そんなパッケージは存在しないし、2回目のプレゼンまでに時間ができたので、フルスクラッチでの提案をしっかり練っていきました」。

年明けから公開予定まで約7ヶ月という制作期間を考えると、フルスクラッチでのECモール構築は無謀な挑戦です。しかし、その自由度の高さとプレゼン時にうかがった要望を叶えたいという熱意も伝わり採用が決定。年の瀬のせまる中、連絡を受けたメンバーは、最高の年越しを迎えたといいます。(後編へ続く)

 

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